私の父は、70歳を超えた辺りから身の回りの整理を始め永代供養の準備をしていました。主に処分しなければならないのは、本でした。父の部屋にある本棚4つの他に、続きの小さな部屋は天井から床まで三方が棚になっており、そこにも本がぎっしり詰まっていました。
これらを古本屋さんに来てもらい、売れる物はどんどん売って行きました。
でも、父の部屋の本はあまり減ったようには見えませんでした。
それが、一気に進んだのは、これから年を取って私達子供に迷惑を掛けたくないと、10年以上に亘って老人ホームを見てきた結果、納得出来る所が見つかった時からです。
もう家に戻ることもないし、ホームに持って行く物には限りがあります。
特に物を捨てたがらない父の部屋の整理は、半分父の承諾を得ながら、半分は何も聞かずに私が捨ててしまいました。
戦前どころか、大正時代からある物等、この先使うことなど絶対にあり得ません。それが、父にとってどんなに懐かしい物であろうと、使うことは無いのです。
それまでは家の整理、として行っていましたが、今度は家を出て行かなければならず、しかも期限が決まっていますから否が応でも整理=捨てるしかありません。
このように、ホームに入る時は絶好の生前整理のチャンスです。
結局引っ越し代20何万円に対し、家に残った物総てを処分会社に頼んだ方は60万円掛かりました。
古い物を「いつか使う」と思って取っておくと、このような無駄とも言える大金が掛かってしまいます。
また、年をとってもそのまま家にいる方も多いでしょう。
その場合も、3年か5年間使わなかった物は捨てるようにすると、意外と不便は感じません。それだけの期間一度も使わなかった物は、その後も納戸のこやしで終わることが殆どです。
残った子供達が処分に困らないように、寝た切りや身体が不自由になる前に、物を少なくしていくのが一番です。
私は現在50代半ばですが、今から物入れの中の使っていない物を捨て始めています。
子供達が独立したら、生前整理を始めることを考え始めるのが良いと思います。